- とおる
- I
とおる【融】⇒ 源融IIとおる【融】能の一。 世阿弥作。 五番目物。 古名「塩竈(シオガマ)」。 旅の僧が六条河原の院の廃墟で休んでいると, 汐汲みの老人が現れ, ここは源融(ミナモトノトオル)が奥州塩竈の地を模して作った庭であると語り, 景色を賞し, 古事を語って消え失せる。 僧がまどろむと, 夢に融大臣が現れて舞い, 夜明けとともに消える。IIIとおる【通る】(1)通行・通過する。 (ア)ある通路・地点を経由して, 人・物・乗り物が移動する。
「大勢の人がぞろぞろ~・る」「道路の右側を~・る」「船が海峡を~・る」「高圧の電流が~・っている」(イ)人などが移動する道すじが通じている。 「林の中を~・っている道」「鉄道が~・る」(ウ)人が外から室内に入る。 「どうぞ奥へお~・り下さい」(エ)穴や狭い所へ物が入って, 向こう側へ抜ける。 「糸が太くて針穴を~・らない」「風がよく~・る部屋」「食べ物がのどを~・らない」
(2)(「透る」とも書く)光線・液体などが物の内部や裏側まで達する。「樹木がしげって, 光が~・らない」「雨が下着まで~・る」「山気冷然として膚(ハダエ)に~・れり/伊沢蘭軒(鴎外)」「内は大殿油, ほのかに物より~・りて見ゆるを/源氏(澪標)」
(3)(「徹る」とも書く)声や音が遠くまで伝わる。「よく~・る声」「(横笛ヲ)雲居に~・るばかり, 吹きたてたり/源氏(梅枝)」
(4)試験・審査などに合格する。「予選を~・る」「予算案が議会を~・る」
(5)通用する。 (ア)意見や主張が認められる。「原告の主張が~・る」「そんな屁理屈は~・らない」「無理が~・れば道理がひっこむ」(イ)世間に受け入れられて通用する。 また, 広く世間に知れわたっている。 「彼は正義派で~・っている」「名の~・った人」「苦沙弥先生が君子でも~・らん事はない/吾輩は猫である(漱石)」
(6)話の筋道などが論理的に整っている。「意味が~・らない」「筋が~・っている」
(7)物の筋が整っている。「鼻筋が~・っている」「柾目(マサメ)の~・った材木」
(8)先方に意向が伝わる。「先方に話が~・っていない」
(9)物事に通じている。 物わかりがよい。「親仁もそれほど~・らぬでもない/浮世草子・好色旅日記」
(10)動詞の連用形に付いて, すっかり…する, の意を表す。「(明障子ガ)すすけ~・りたること, いつの世に張りたりともみえず/宇治拾遺 5」
〔「通す」に対する自動詞〕‖可能‖ とおれる
Japanese explanatory dictionaries. 2013.